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国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか

展示・公演等

シモーヌ・ファタル

Simone Fattal

  • 現代美術
  • 愛知県陶磁美術館

展示情報

  • 国際芸術祭「あいち2025」展示風景
  • シモーヌ・ファタル《森のキノコ》2023
  • ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
  • 撮影:怡土鉄夫
作品解説
森のキノコ

シモーヌ・ファタルの作品は、古代エジプト神話からギリシャ・ローマの民間伝承、スーフィー神秘主義にまで至る古代文明、文学、古典文書、詩、歴史や神話の源泉、そして考古学と遺跡発掘がもつ政治性から着想を得ています。ファタルは作品のなかで、人類、文化、歴史、そしてそれらが現在とどのように結びつくのかを物語ります。ダマスカスとベイルートで育った彼女にとって、文学、詩、考古学、そしてこの地域の風景から受けた影響は、創作の中心的なテーマです。ファタルの作品は、戦争や移住という自身の経験も含め、現代の人間が存在するための条件を探求しています。
粘土という素材と、それを手で成形することによって可視化される質感はまた、身体と素材の関係を強調します。人類が最初に成形した素材である粘土は、その後歴史のなかで絶えず用いられてきました。コーランで語られている、人間が粘土から創造されたという記述もまた、私たちが大地と根源的に結びついていることを示しています。
このインスタレーションでは、表面にたっぷりと釉薬を施された7つの陶製のキノコが、私たちと自然との脆い関係を表しています。存在の儚さ、自然の循環、そして困難な環境で繁栄するために必要な強靭さについて考察する作品です。キノコは神秘的なものと地上にあるものの両方を表す深い象徴的な意味をもち、精神世界と物質世界の間の架け橋の役割を果たしています。その生命の循環は、再生と更新、そして癒しを表現しています。

会場

愛知県陶磁美術館
本館

プロフィール

  • 1942年ダマスカス(シリア)生まれ。パリ(フランス)拠点。

レバノンで育ち、ベイルートのエコール・デ・レトルで哲学を専攻。その後パリに渡り、ソルボンヌ大学に入学。1969年にベイルートに戻った後、ビジュアル・アーティストとして活動を開始し、レバノン内戦が始まるまで絵画作品を発表し続けた。1980年にレバノンを離れ、カリフォルニアに移住。革新的な作品に特化した現代文学の出版社ポスト・アポロ・プレスを設立した。1988年にサンフランシスコ・アート・インスティテュートに入学したのをきっかけにアーティストとしての実践を再開し、彫刻に新たな情熱を傾けるようになった。

主な発表歴
2024
個展「metaphorS」セセッション館(ウィーン、オーストリア)
2023
個展「The Manifestations of the Voyage」ポルティクス(フランクフルト、ドイツ)
2022
第59回ヴェネチア・ビエンナーレ、国際美術展「The Milk of Dreams」(イタリア)
2021
個展「Finding a Way」ホワイトチャペル・ギャラリー(ロンドン、英国)
2019
個展「Works and Days」MoMA PS1(ニューヨーク、米国)
  • 《Mushrooms in a Forest》 2023
  • Photo: Wolfgang Günzel.