本文へ移動

国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか

展示・公演等

シモーヌ・リー

Simone Leigh

  • 現代美術
  • 愛知県陶磁美術館

展示情報

  • 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
  • シモーヌ・リー
  • ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
  • 撮影:怡土鉄夫
作品解説

シモーヌ・リーはしばしば自らの民族誌として、黒人女性を中心に据えた作品を手掛けます。壮大なスケールで空間を満たす主体となった作品は、抵抗、知識、力、美といった黒人女性の生きた現実を映し出します。文化研究と黒人フェミニズム理論を学んだリーの作品には、アメリカ南部、カリブ海、アフリカの土着的な伝統への関心が顕著に表れています。また、塩焼成陶やロストワックス鋳造などの複雑な造形技法を習得し、アメリカとアフリカ双方の陶芸技法を融合させることで、アフリカのディアスポラに脈打つ伝統と美学の間に、新しいハイブリッドな関係をもたらしています。
《水差し》は、陶器の生産で知られたアメリカ南部サウスカロライナ州エッジフィールド地区で、19世紀に奴隷や奴隷から解放されたアフリカ系アメリカ人の職人が制作していた顔付きの水差しに着想を得ています。リーはこれをのこぎり歯状のギザギザの開口部をもつタカラガイとして再解釈しました。展示室の中央では、タカラガイのスカートを纏った粘土製の人物像が存在を主張しています。世界最古の通貨の一つでもあるこのタカラガイは、リーの作品に繰り返し登場する重要なモチーフで、大西洋奴隷貿易のトラウマや搾取を想起させ、西アフリカのヨルバ族の間では占いの道具としても用いられました。
そばに聳え立つのはアフリカの熱帯地域に分布するラフィア(ヤシの葉)の巨大なタワー《無題(ジューン・ジョーダンに捧ぐ)》で、西アフリカで伝統的に用いられてきた建築素材や様式、茅葺き屋根を想起させます。タイトルは、詩人、教師、活動家でもあるジューン・ジョーダンへのオマージュです。1964年の公民権運動後、建築家バックミンスター・フラーと協力して実現しなかった『ハーレムのための摩天楼』の提案書を作成したジョーダンによる、ジェンダー、人種、セクシュアリティ、そして世界的な解放闘争に関する著作は、黒人フェミニズム研究の中核をなしています。

会場

愛知県陶磁美術館
本館

プロフィール

  • 1967 年シカゴ(米国)生まれ。ニューヨーク(米国)拠点。

過去20年間にわたり、シモーヌ・リーは彫刻やビデオ、インスタレーションを用いた多面的な作品を制作してきた。すべての作品に通底するのは黒人女性としての主観性というテーマ。リーは自身の作品を「オートエスノグラフィック(自己民族誌的)」と表現する。彼女の陶やブロンズ彫刻は、伝統的にアフリカ美術と紐付けられてきたフォルムを採用したものが多い。パフォーマンスに影響を受けたインスタレーション作品は、歴史的先例と自己決定が交錯する空間を生み出す。リーは2000年代初頭に最初に作品を発表し始めた。ハマー美術館(ロサンゼルス)、スタジオ美術館(ハーレム)、テート・ギャラリー(ロンドン)、グッゲンハイム美術館(ニューヨーク)などで個展を開催。

主な発表歴
2024–25
「Simone Leigh」ロサンゼルス・カウンティ美術館(米国)/カリフォルニア・アフリカン・アメリカン博物館(ロサンゼルス、米国)/ハーシュホーン博物館と彫刻の庭(2023-24、ワシントンD.C.、米国)/ボストン現代美術館(2023、米国)
2022–23
「Simone Leigh」グレンストーン美術館(ポトマック、米国)
2022
第59回ヴェネチア・ビエンナーレ、米国館(金獅子賞)(イタリア)
2019
「ヒューゴ ボス賞2018:Simone Leigh, Loophole of Retreat」グッゲンハイム美術館(ニューヨーク、米国)
2019
《Brick House 》(インスタレーション)ハイライン・プリンス(ニューヨーク、米国)
  • 《Untitled》 2023-24
  • ©Simone Leigh, courtesy the artist and Matthew Marks Gallery