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国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか

展示・公演等

ソロモン・イノス

Solomon Enos

  • 現代美術
  • 愛知芸術文化センター
  • 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
  • ソロモン・イノス 2025
  • © 国際芸術祭「あいち」組織委員会
  • 撮影:ToLoLo studio
  • 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
  • ソロモン・イノス《たくさんの手/協働》2025
  • © 国際芸術祭「あいち」組織委員会
  • 撮影:ToLoLo studio
作品解説

ソロモン・イノスによる〈熟す〉シリーズは、ハワイ州立美術館で1ヶ月にわたり公開制作された新作です。イノスは来館者との対話を《たくさんの手/協働》に通じる共同的な創作行為と捉え、地域社会の創造力を育む営みの一環と位置付けています。
本作でイノスは、海の砂や貝殻といった美しいゴミと違って、分解しにくく有害な人間の廃棄物が、再び土や砂へと還る美しさをもつことができる未来を想像します。《熟す1》は、廃棄された機械部品が有機的に変化して平和な社会を支えている、未来のゴミ捨て場を描いています。《熟す2》は、植物と生命が循環する世界観をもつハワイの神話を背景に、花のような器官から再生する人々を描いています。《熟す3》は、樹木とコンピューターが融合した存在と、その頂で未来の島民が花に身を宿している様子を描いています。いずれも自然に対抗して戦うのではなく、自然とともに踊るような古来の知恵を反映しており、森で暮らす生きものたちが種を超えて資源を分かち合う有機的な連関に、人間社会もまた学ぶべきではないかと問いかけています。
この三部作は、イノスが提唱する「パシフィカ・フューチャリズム(太平洋未来主義)」の概念のもと、「今よりもはるかにやさしい世界は到来しうるはずだが、その道筋は必ずしも明確ではない」という暗号化された希望を描いています。ハワイ語で「熟す」を意味する「Pala」には、ある課題に対して世界が解決という果実を収穫する機が熟している、という意味が込められています。

たくさんの手/協働

ネイティブ・ハワイアンのソロモン・イノスは、絵画、壁画、イラストレーション、コミュニティ・アートを横断的に手がけるアーティストです。これまでにも公共空間での公開制作や地域社会と協働した壁画制作など、コミュニティとの実践を重視した制作を行ってきました。
「あいち2025」では、愛知県児童総合センターと瀬戸市内の保育園でワークショップを開催し、1,000人を超える子供たちや地域の方々の協力を得てこの壁画を制作しました。800枚以上の黒い画用紙には、参加者がイノスの提示するストーリーに沿って自由に色や点を重ねた痕跡が集積しています。作品名の《Laulima》とは、ハワイ語で「たくさんの手」、つまり「協働」を意味します。ワークショップを通じて、イノスは地中の微生物を例に挙げ、子供たちに共同制作の意義や社会における協働の重要性を伝えました。あるルールに基づいて描くように促しながら、同時にそれを無視してもよいという、ある意味では矛盾も含んだきわめて有機的な制作プロセスは、個人と集団の逆説的な関係を浮き彫りにします。その「何も描かない」試みは、結果的に「すべてを描く」ことになります。参加者が「芸術を生み出す自然の力」として描き出した、海底や宇宙に見られるような秩序ある混沌は、未来を共に創造するというイノスの強い信念を鮮やかに反映しています。

展示情報

会場

愛知芸術文化センター 8F
愛知県美術館ギャラリー 通路3
愛知県美術館ギャラリー 展示室J前

プロフィール

  • 1976年オアフ(米国)生まれ。オアフ(米国)拠点。

ネイティブ・ハワイアンの画家ソロモン・イノスは、イラストレーター、壁画アーティスト、ゲームデザイナー、教育者、語り部であり、また35年の経験を持つ地域社会の活動家でもある。ハワイのホノルルを拠点に活動しているイノスの作品は、ハワイだけでなく、世界中でも目にすることができる。イノスは、地域で貢献活動をリードする家族のもとに生まれ、幼い頃から自己の文化を伝え、作品を通して希望を語り継ぐ「ナラティブ」の制作に携わることを受け継いできた。

主な発表歴
2023
第15回シャルジャ・ビエンナーレ「Thinking Historically in the Present」(アラブ首長国連邦)
2019
ホノルル・ビエンナーレ2019「TO MAKE WRONG / RIGHT / NOW」(米国)
2016–17
「CTRL+ALT: A Culture Lab on Imagined Futures」477ブロードウェイ(ニューヨーク、米国)
2016–17
「ʻAe Kai: A Culture Lab on Convergence」旧フードランド アラモアナセンター跡地(ホノルル、米国)
2012
第7回アジア・パシフィック・トリエンナーレ、クイーンズランド州立美術館|現代美術館(ブリスベン、豪州)
  • 《MMMRRRZZZMMM》 2019