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国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか国際芸術祭あいち2025、テーマ:灰と薔薇のあいまに、会期:2025年9月13日(土)から11月30日(日)79日間、会場:愛知芸術文化センター/愛知県陶磁美術館/瀬戸市のまちなか

展示・公演等

杉本博司

Sugimoto Hiroshi

  • 現代美術
  • 愛知芸術文化センター

展示情報

  • 国際芸術祭「あいち2025」 展示風景
  • 杉本博司 宮本三郎 水谷清 太田三郎
  • ©︎ 国際芸術祭「あいち」組織委員会
  • 撮影:ToLoLo studio
作品解説

杉本博司は、〈ジオラマ〉〈海景〉〈劇場〉〈建築〉〈ポートレート〉〈観念の形〉(19世紀のドイツ製数学用石膏模型を撮影)シリーズなどの主に銀塩写真による作品を通して、生と死、実存と虚構、自然と非自然といった相反する概念の間、そして人類の存在前後の時間を含む広大な自然史を探求してきました。杉本の作品の静謐な画面のなかには、長時間露光によって凝縮された時間が封じ込められていたり、生けるものとそうでないものの存在が反転したりしています。
〈ジオラマ〉は、杉本のアーティスト活動最初のシリーズです。1975年に杉本がニューヨークのアメリカ自然史博物館(AMNH)で見たジオラマの精巧さと、そこに生と死が同時に存在している様相に目を奪われたことに由来します。杉本はそれから40年間にわたって米国のさまざまな博物館でジオラマを撮影しました。AMNHのジオラマ製作は1920年代から1940年代が黄金期で、背景画はほぼすべて画家たちが実際の場所を訪れて描かれました。約20分間の露光で撮影された本作は、あたかも生きている動物を撮影したと見まがうリアルさです。撮影と射撃のどちらも意味する英語の‘shoot’から、写真は時に死を連想させますが、本作には失われた生を写真のなかで取り戻そうとする杉本の祈りが込められています。ジオラマは人類が地球にもたらした急激な変化によって絶滅した種や、都市化や戦争で失われた生き物のメモリアルでもあることを想起すると、本作は長い自然史のなかで、杉本が言うところの「ロスト・ヒューマン」(人類後)の世界観を表しているといえるかもしれません。

会場

愛知芸術文化センター 10F
愛知県美術館

プロフィール

  • 1948年東京都生まれ。ニューヨーク(米国)拠点。

杉本の活動分野は写真、建築、造園、彫刻、執筆、古美術蒐集、舞台芸術、書、作陶、料理と多岐にわたる。杉本のアートは歴史と存在の一過性をテーマとし、経験主義と形而上学の知見をもって西洋と東洋との狭間に観念の橋渡しをしようとする意図のもと、時間の性質、人間の知覚、意識の起源について探求。作品は、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)やポンピドゥ・センター(パリ)など世界有数の美術館に収蔵されている。代表作に『海景』、『劇場』、『建築』シリーズなど。2008年に建築設計事務所「新素材研究所」を、2009年に公益財団法人小田原文化財団を設立。2017年には文化施設「小田原文化財団 江之浦測候所」をオープン。2023年日本芸術院会員に任命される。2017年文化功労者(東京)に選出される。受賞歴としては、2017年王立写真協会賞(ロンドン)、2013年フランス芸術文化勲章オフィシエ章(パリ)、2009年高松宮殿下記念世界文化賞[絵画部門](東京)など。

主な発表歴
2024
個展「Hiroshi Sugimoto: Time Machine」シドニー現代美術館(2024、豪州)/ユーレンス現代芸術センター(2024、北京、中国)/ヘイワード・ギャラリー(2023-24, ロンドン、英国)
2018–19
個展「SUGIMOTO VERSAILLES Surface of Revolution」トリアノン、ヴェルサイユ宮殿(フランス)
2013
個展「杉本博司」サムスン美術館リウム(ソウル、韓国)
2005
個展「杉本博司:時間の終わり」森美術館(東京)/ハーシュホーン美術館・彫刻庭園(2006、ワシントンD.C.、米国)
2000
個展「杉本博司:ポートレート」ドイツ・グッゲンハイム美術館(ベルリン)/ビルバオ・グッゲンハイム美術館(スペイン)/グッゲンハイム美術館ソーホー(2001、ニューヨーク、米国)
  • 《シロクマ》 1975
  • © Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
  • 作家蔵