LEARNINGラーニング
「あいち2022」のラーニング・プログラムは、「アートは一部の愛好家のためのものではなく、すべての人がそれぞれのやり方で楽しみ享受するもの」という基本的な考え方に基づき、幅広い層を対象にした5つのプログラムで構成しています。
2021年からの活動記録を、各ページに掲載しています。
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リサーチ
世界のあらゆる表現と向き合うために、自分たちの立っている場所を知ることを重視し、芸術祭が開催される「愛知」についてリサーチするプロジェクト。アーティストと公募によって集まった参加者が歴史・文化・生活などの観点から数ヶ月かけてリサーチしました。その結果を芸術祭会期中に展示し、ワークショップなどを通してさらに発展させました。
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レクチャー
芸術祭や愛知、美術や舞台芸術を、歴史的かつ批評的に捉えることで、多角的な視点から「芸術祭」にアプローチするレクチャーシリーズです。2021年から始まったこのシリーズは、アーカイブを公開しています。芸術祭会期中は、アーティストやキュレーターなどによるトークやディスカッションを実施しました。
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ガイドツアー
ガイドツアーでは、作品解説や対話型鑑賞を通じて、作品の見方や理解、鑑賞体験を広げ、深めていきました。キュレーターやボランティアが、日本語以外の言語を話す方々や視聴覚に障害のある方々など、多様なニーズに合わせて芸術祭をガイドしました。
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スクール・プログラム
「あいち2022」を児童・生徒向けの団体鑑賞プログラムで案内しました。また、芸術祭と学校をつなぐため、教育関係者向けの研修プログラムも開催しました。
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ボランティア・プログラム
研修を通じて「対話型鑑賞」の手法を学んだボランティアが、来場者と対話的な鑑賞の機会を創出するプログラムを実施しました。また、会場運営や、対話型鑑賞による案内、そしてガイドツアーなど様々な活動を通して芸術祭を支えました。
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ラーニングルーム
ラーニング・プログラムの拠点。2021年10月から6組のアーティストと公募による参加者が活動してきた「愛知と世界を知るためのリサーチ」の成果を展示しました。また、展示エリアの先にある「オープンスペース」では、様々なワークショップやレクチャーなどを開催しました。
ラーニング・プログラムとは
「あいち2022」のラーニング・プログラムは、「アートは一部の愛好家のためのものではなく、すべての人がそれぞれのやり方で楽しみ享受するもの」という基本的な考え方に基づいています。
例えば、揃いの青いハッピを着て神輿を担いだり、銀玉鉄砲やクラッカーで遊んだりした地元の神社の祭りのような芸術祭。それは、芸術祭を見に来た人、参加した人がコミュニティの一員として参加している実感、社会に空間的・時間的に包摂されていると感じることなのではないでしょうか。そのために「難解な現代アート」というイメージやレッテルを払拭し、素の目で作品と向き合い、アートとの直接的な関わりを促すことを、「あいち2022」のラーニング・プログラムでは実践していきたいと考えています。
そもそも現代アートは、私たちと同じ様に、世界の何処かに暮らす個人やグループが作り出したものです。鑑賞者はそこにある作品を通して、どこかの誰かが見つけ出した視点から世界に出会う機会を得るのです。そうすることで、普段は見過ごしていた物事に新しい価値を発見したり、自分と歴史・社会がつながっていることに気づいたり、生きていることの尊さとおかしみを感じたり、と様々な反応が自らの内に起こってくる。アートに触れることと、世界を知ること、そして自らを知ることは不可分に結びついているのです。
欧米、アジア太平洋、ラテンアメリカ、アフリカなど世界各地から現代アートが集まるこの芸術祭は、たくさんの地域のたくさんのアーティストたちの作品と出会い、たくさんの視点から物事を見たり考えたりするチャンスです。世界についての認識を広げ、深め、翻って自分自身を見つめ直す、そうした活動の総体を「ラーニング/学び」と位置づけ、それを実現するためのプログラムを提供していきます。
アートを通した学びによって、これからも起こり続けるであろう未知の事態を乗り越える力、まさに「今、を生きる力」を一人一人が獲得し、多様な未来の可能性に開かれた世界を実現するために。
山本高之(「あいち2022」キュレーター(ラーニング))
コンセプト
- 包摂:参加することで、自らが祝福されていると感じることができる
- 多様性の肯定:同時代を生きる作家によって表現される多様な「ALIVE(生きている)」のあり方、その視点に触れる
- 自分を知り、世界を知る:愛知という地域の歴史的・文化的背景を知り、ローカル独自の視点を持つことで、世界中から集まってくる様々な作品を通した世界の見方との出会いの準備とする。