「ガラスの中で」

  • あいちトリエンナーレ2019の展示風景
    「ガラスの中で」2019
    Photo: Ito Tetsuo

展示室には巨大な透明のアクリル枠が天井より吊るされています。形状から、巨大なシャーレのように見えます。枠の中には儚げなオーガンジーの布にアップリケや刺繍が施されています。これらの素材は光を通し、床や壁へと影を落としています。作家はこれまで女性と労働といったテーマを刺繍や影を用いて表現してきました。本作は作家自身の妊娠を機に、生命という新たなテーマに踏み込んだものです。刺繍の内容は乳児や家族に関連するモチーフが描かれ、その多くは染色体の構造にならい、左右対称で二つひと組みとなっています。
英語タイトルの「in vitro」とは、生物学の分野で試験管内などの人工的な環境を意味します。科学の進歩と共に、生命の誕生にまつわる神秘も徐々に解明されてきています。同時に人の価値判断や倫理についても、これまで考えずに済んでいた領域へと進歩させる必要も出てきています。

碓井ゆい

  • 1980年東京都生まれ
  • 埼玉県拠点


日本社会で働き、生活を営む一人の女性として、近代から現代に至る歴史を紐解き、女性の立ち位置を鑑賞者に問う作品を制作。資本主義社会における「女性と労働」にまつわる影の部分――ジェンダーの不均衡さを突いた《shadow of a coin》(2013-2018)や《shadow work》(2012-2016)――では、オーガンジーの布に刺繍を施し、一見ささやかだが鋭いメッセージを投げかけ、彼女の表現を特徴づける作品となっている。また作品の主題が女性に立脚していることこそが、他者の経験や歴史を単に眺めるのではなく、当事者として積極的に行動しようとする彼女の態度を表しており、その実践は今まさに発展の過程にある。

主な作品発表・受賞歴

2018 「VOCA展2018」上野の森美術館、東京
2016 アッセンブリッジ・ナゴヤ2016「パノラマ庭園 —動的生態系にしるす—」旧・名古屋税関港寮、愛知
2016 個展「shadow work」小山市立車屋美術館、栃木

地図

名古屋市美術館

所在地

〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄2丁目17−25
芸術と科学の杜・白川公園内

開館時間

9:30-17:00(金曜は20:00まで)
入館は閉館の30分前まで

休館日

月曜日(祝休日は除く)、9/17(火)

バリアフリー

車椅子の無料貸し出しをしています。ご利用の方はインフォメーションまでお申し付けください。

アクセス

・地下鉄東山線・鶴舞線「伏見」駅下車 徒歩8分
・地下鉄鶴舞線「大須観音」駅下車 徒歩7分
・地下鉄名城線「矢場町」駅下車 徒歩10分

問い合わせ

052-971-6111