町蔵

  • あいちトリエンナーレ2019の展示風景
    《町蔵》2019
    Photo: Masahiko Toyama
S02

蔵の中に積み上げられた箪笥や、家具などで作られた細い通路をくぐり土間から一段上がると、炭の黒色で覆われた地平が現れます。防火のために計画された7メートルの幅の通りを由来とする四間道では、延焼を防ぐ目的で各家に土蔵を作らせたという史実が残っています。展示空間における観客の通路を近くに流れる堀川と捉えると、全体の位置が地図に準じていることが理解できます。
炭が用いられているのは、展示会場となっている伊藤家が、当初は炭を扱う商家だったことに由来しています。黒い風景は、一方では第二次世界大戦で戦火を免れた専修寺山門や、名古屋城石垣などが並ぶ様子から、空襲を受けた名古屋の風景にも見えます。しかしもう一方では、テレビ塔や円頓寺商店街のアーケードなど、大戦後に作られた構造物も並んでいることが見て取れます。
広島を出自とする作家は、現在の状況は戦後というだけではなく、戦前とも捉えられると言います。この展示空間を起点として、過去と未来の鏡映しとなった時間を読み解くこともできるでしょう。

岩崎貴宏

  • 1975年広島県生まれ
  • 広島県拠点
  • Photo: Nozomi Tomoeda


広島市立大学芸術学部で学び、立体作品やインスタレーションを主に制作する。歯ブラシ、タオル、文庫本の栞、ダクトテープなど身の回りの物で繊細な風景を作り出し、そこには様々なスケールを瞬時に飛び越える面白さが見出せる。例えば、文庫本の栞でクレーンを作った作品では、遠目には本に見えるが、近づいてクレーンに気づいた瞬間から、その本が建設中のビルに見えてくる。広島で生まれ育った彼は、廣島という大都市がミクロな原子の力で瞬時に壊滅したことを意識してきた。小さな操作が瞬時に全体の見え方を変えるという彼の作品の特徴は、ヒロシマという場所の歴史とつながっている。

主な作品発表・受賞歴

2017 第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ、日本館、ヴェネツィア(イタリア)
2015 「Takahiro Iwasaki: In Focus」アジアソサエティ、ニューヨーク(米国)
2012 第7回アジア・パシフィック・トリエンナーレ、ブリスベン(オーストラリア)
2011 ヨコハマトリエンナーレ2011「OUR MAGIC HOUR-世界はどこまで知ることができるか?-」神奈川
2009 第10回リヨン・ビエンナーレ「日常のスペクタクル」リヨン(フランス)

地図

伊藤家住宅

所在地

〒451-0042
愛知県名古屋市西区那古野1丁目36−12

開館時間

12:00-20:00(金曜は21:00まで)
入館は閉館の15分前まで

休館日

月曜日(祝休日は除く)

アクセス

・地下鉄桜通線・鶴舞線「丸の内」駅下車 徒歩8分
・地下鉄桜通線「国際センター」駅下車 徒歩9分
・名古屋駅より徒歩15分

問い合わせ

052-971-6111